小型船舶操縦士の学科試験では、心得及び遵守事項の科目が一級・二級・特殊で 12 問、二級(湖川小出力限定)で 10 問出題され、どの区分でも避けて通れません。この科目の中心にあるのが、船舶職員及び小型船舶操縦者法 第 23 条の 40 が定める小型船舶操縦者の遵守事項です。条文は 5 つの項に分かれ、ライフジャケットの着用義務もその 1 つです。この記事では e-Gov に掲載された条文を引きながら、5 つの要点と、違反したときの扱い、免許証と定員のルールを整理します。
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海図に記載される情報として、適切でないものはどれか。
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海図には、水深と底質、灯台や灯浮標の位置と灯質・光達距離、岩礁や沈船などの危険物といった、日ごとには変わらない情報が記号で示される。これに対し満潮・干潮の時刻やそのときの潮位は日ごとに変わるため、海図ではなく潮汐表で調べる。海図の水深は基準面からの値なので、実際の水深は潮位を加えて考える。
遵守事項は法律に 5 つ
遵守事項を定めるのは船舶職員及び小型船舶操縦者法(昭和 26 年法律第 149 号)第 23 条の 40 です。第 2〜5 項は細目を国土交通省令に委ねており、その中身は施行規則 第 134〜138 条にあります。
| 項 | 内容 | 細目を定める施行規則 |
|---|---|---|
| 第 1 項 | 酒酔い等操縦の禁止 | なし(条文で完結) |
| 第 2 項 | 自己操縦(港の出入りなどでは自ら操縦する) | 第 134 条・第 135 条 |
| 第 3 項 | 危険操縦の禁止(遊泳者の付近での高速航行・急回転など) | 第 136 条 |
| 第 4 項 | 船外への転落に備えた措置(救命胴衣の着用) | 第 137 条 |
| 第 5 項 | 発航前の検査・見張り・事故時の人命救助 | 第 138 条 |
法令上の語は救命胴衣・特殊小型船舶・小型船舶操縦者ですが、以下ではライフジャケット・水上オートバイ・船長という通称も使います。
酒酔い等操縦の禁止 — 数値の基準は無い
第 1 項は「小型船舶操縦者は、飲酒、薬物の影響その他の理由により正常な操縦ができないおそれがある状態で小型船舶を操縦し、又は当該状態の者に小型船舶を操縦させてはならない。」と定めています(第 23 条の 40 第 1 項)。
- 対象は飲酒だけではなく、薬物の影響その他の理由を含みます
- 自分で操縦することに加えて、その状態の人に操縦させることも禁じています
- 法・施行令・施行規則に、呼気や血中のアルコール濃度の数値基準はありません。自動車の飲酒運転の数値と混同しないでください
自己操縦 — 有資格者が操縦すれば足りる
第 2 項は、港を出入りするときや狭い水路を通るときなど危険のおそれがあるときとして省令で定めるときは、「自らその小型船舶を操縦しなければならない。」と定めています(第 23 条の 40 第 2 項)。その場面は施行規則 第 134 条が次の 3 つと定めています。
- 港則法に基づく港の区域を航行するとき
- 海上交通安全法に基づく航路を航行するとき
- 特殊小型船舶(水上オートバイ)に乗船するとき
ただし第 2 項にはただし書があり、施行規則 第 135 条第 1 号は「乗船基準において必要とされる資格に係る操縦免許証を受有する小型船舶操縦士が操縦する場合」を挙げています。船長本人が必ず舵を握る義務ではなく、必要な資格を持つ人が操縦すれば足ります。
ライフジャケット — 着用義務の 4 つの場合と除外
第 4 項は、船外に転落するおそれがある場合として省令で定める場合に、「船外への転落に備えるためにその者に救命胴衣を着用させることその他の国土交通省令で定める必要な措置を講じなければならない。」と定めています(第 23 条の 40 第 4 項)。
| 号 | 場合 |
|---|---|
| 第 1 号 | 航行中の特殊小型船舶に乗船している場合 |
| 第 2 号 | 十二歳未満の小児が航行中の小型船舶に乗船している場合 |
| 第 3 号 | 航行中の小型漁船に一人で乗船して漁ろうに従事している場合 |
| 第 4 号 | 前各号に定めるもののほか、小型船舶の暴露甲板に乗船している場合 |
第 4 項は「前二項の規定は、次の各号に掲げる者には適用しない。」として除外を定めています。第 7 号は「船室内に乗船している者(第一項第二号及び第三号に掲げる場合に限る。)」(第 137 条第 4 項第 7 号)で、12 歳未満の小児と一人での漁ろうの場合に限り、船室内にいる者は除外されます。国土交通省のページは、船室を屋根と壁に囲まれた船室の中と説明し、屋根だけのスペースは除外にならないとしています。
もう一つの緩和が第 3 項です。暴露甲板のうち、周囲に高さ 75 センチメートル以上の柵欄などがあり所定の表示がある位置や、防波堤の内側で係留している船では、措置が「着用させるよう努める措置」に緩和されます(第 137 条第 3 項)。ただしこの緩和は「第一項第四号に掲げる場合のうち」(同項)に限られ、12 歳未満の小児(第 1 項第 2 号)には及びません。航行中の小児は、柵に囲まれた場所にいても着用させる必要があります。
違反したらどうなるか — 点数・処分・再教育講習
遵守事項の違反には点数が付きます。
| 点数 | 違反の内容 |
|---|---|
| 3 点 | 酒酔い操縦、自己操縦義務違反、危険操縦、見張りの実施義務違反 |
| 2 点 | 船外への転落に備えた措置義務違反、発航前検査義務違反 |
第 5 項のうち点数が付くのは、発航前の検査(施行規則 第 138 条第 1 号)と見張り(同条第 2 号)だけで、事故時の人命救助(同条第 3 号)には点数がありません。違反によって他人を死傷させたときは 3 点が加わります(別表第十一 備考)。
過去 1 年以内の累積点数が、過去 3 年以内に処分の前歴が無ければ 5 点、あれば 3 点に達すると処分の対象になります(施行規則 第 93 条・別表第十一 第二号)。処分の内容は法 第 23 条の 7 第 1 項で「六月以内の期間を定めてその業務の停止を命じ、又はその者を戒告すること」とされ、遵守事項違反を理由とする免許の取消しは定められていません。
- 処分の基準に届かなくても、違反をすれば 1 回でも再教育講習の受講通知の対象になります(施行規則 第 139 条第 1 号)
- 基準に達していない段階で受講期間内に受講すると、点数から 2 点が減じられます(別表第十一 備考)
- 基準に達した後に受講すると、処分の免除又は軽減を受けられることがあります(法 第 23 条の 41 第 3 項)
- 遵守事項違反そのものには、罰金も過料も定められていません(法 第 30〜33 条)
免許証は船内に備え置き、定員は操縦者を含めて数える
免許証について法 第 25 条は「船内に海技免状又は操縦免許証を備え置かなければならない。」と定めています。条文の義務は船内に置いておくことで、携帯という語は使われていません。他人への譲渡・貸与も禁じられ(第 25 条の 2)、これらの違反は 10 万円以下の過料です(第 32 条)。過料は刑罰ではありません。
定員(最大搭載人員)は、船舶安全法 第 9 条第 1 項により船ごとに定められ、船舶検査証書に記載されます。船舶安全法施行規則 第 8 条は、最大とう載人員を「旅客、船員及びその他の乗船者の別に」定めるとしており、操縦者も定員に含めて数えます。子どもの数え方は同規則 第 9 条第 1 項の「一歳未満の者は算入しないものとし、国際航海に従事しない船舶に限り一歳以上十二歳未満の者二人をもつて一人に換算するものとする。」です。定員を超えて乗せると、船舶安全法 第 18 条第 1 項第 4 号により船舶所有者又は船長が罰則の対象になります。
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この記事は船舶職員及び小型船舶操縦者法・同施行規則・船舶安全法などの条文に基づく解説で、合否を保証するものではありません。法令は改正されることがあるため、最新の条文は e-Gov 法令検索で確認してください。
よくある質問
- 12 歳未満の子どもは、船室の中でもライフジャケットを着せる必要がありますか?
- 施行規則 第 137 条第 4 項第 7 号により、12 歳未満の小児が航行中の小型船舶に乗っている場合でも、船室内にいる者には着用させる措置の規定が適用されません。船室の外に出るときは、柵に囲まれた場所でも着用させる必要があります。
- 操縦免許証は携帯しなければいけませんか?
- 法 第 25 条の義務は、小型船舶に乗船するときに免許証を船内に備え置くことです。条文に携帯という語はありません。
- 遵守事項に違反すると免許を取り消されますか?
- 遵守事項違反を理由とする処分は、法 第 23 条の 7 第 1 項により 6 月以内の業務の停止又は戒告までで、取消しは定められていません。処分は累積点数が基準に達したときですが、違反をすれば 1 回でも再教育講習の受講通知の対象になります。
出典
- e-Gov 法令検索「船舶職員及び小型船舶操縦者法」(昭和 26 年法律第 149 号)
- e-Gov 法令検索「船舶職員及び小型船舶操縦者法施行規則」(昭和 26 年運輸省令第 91 号)
- e-Gov 法令検索「船舶安全法」(昭和 8 年法律第 11 号)
- e-Gov 法令検索「船舶安全法施行規則」(昭和 38 年運輸省令第 41 号)
- 国土交通省「ライフジャケットの着用義務拡大」
- JMRA「小型船舶の航行の安全に関する教則」(令和 5 年 4 月 1 日施行)
- JMRA「一・二級小型船舶操縦士試験について」(受験案内 PDF)
- JMRA「特殊小型船舶操縦士試験について」(受験案内 PDF)
- JMRA「二級小型船舶操縦士(湖川小出力限定)試験について」(受験案内 PDF)