船舶免許の学科試験は、区分ごとに出題数と合格基準が公式に決まっています。二級は四肢択一 50 問を 1 時間 10 分で解き、各科目で半分以上かつ合計 33 問以上で合格。合格率は試験機関(JMRA)が公表しておらず、公表されているのは合格者数だけです。この記事では公表資料に書かれている数字だけを使って、難易度の輪郭を整理します。
学科試験の形式は区分ごとに決まっている
小型船舶操縦士の試験は、一般財団法人 日本海洋レジャー安全・振興協会(JMRA)が実施しています。学科試験は区分ごとに科目・出題数・試験時間が定められています。
| 区分 | 科目と出題数 | 合計 | 形式 | 試験時間 |
|---|---|---|---|---|
| 一級 | 心得 12・交通の方法 14・運航 24(一般科目 50)+ 上級運航Ⅰ 8・上級運航Ⅱ 6(上級科目 14) | 64 問 | 四肢択一 | 2 時間 20 分 |
| 二級 | 心得 12・交通の方法 14・運航 24 | 50 問 | 四肢択一 | 1 時間 10 分 |
| 特殊(水上オートバイ) | 心得 12・交通の方法 10・運航 18 | 40 問 | 四肢択一 | 50 分 |
| 二級(湖川小出力限定) | 心得 10・交通の方法 8・運航 12 | 30 問 | 正誤式(○×) | 30 分 |
一級は二級の一般科目 50 問に「上級運航Ⅰ(航海)」「上級運航Ⅱ(機関)」の 14 問が加わる構成です。湖川小出力限定だけは正誤式で、他の区分は四肢択一です。
合格基準は「科目ごとの足切り」と「合計」の二段構え
合格基準は、各科目で配点の半分以上を取ったうえで、合計でも一定数以上を取ることです。どちらか一方では合格になりません。
- 二級: 各科目で半分以上、かつ 50 問中 33 問以上
- 特殊: 心得 12 問中 6 問以上・交通 10 問中 5 問以上・運航 18 問中 9 問以上、かつ 40 問中 26 問以上
- 二級(湖川小出力限定): 心得 10 問中 5 問以上・交通 8 問中 4 問以上・運航 12 問中 6 問以上、かつ 30 問中 20 問以上
- 一級: 各科目で半分以上、かつ一般科目 50 問中 33 問以上と上級科目 14 問中 10 問以上の両方
合計の基準は JMRA の案内で「各科目合計問題数の 65 パーセント以上(端数切り上げ)」とされ、二級 33/50・特殊 26/40・湖川 20/30 がこれにあたります。科目ごとの足切りがあるため、得意科目で稼いで苦手科目を捨てる作戦は使えません。難易度を左右するのは「1 科目も落とさない」という条件です。
合格率は公表されていない。公表されているのは合格者数
JMRA が資料集で公表している統計は「合格者数」で、受験者数や合格率は公表されていません。したがって「合格率 ○%」という数字は、公式資料からは出せません。参考として、年度別の合格者数(全国計)は次のとおりです。
| 年 | 一級 | 二級 | 湖川小出力限定 | 特殊 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2021 | 20,225 | 30,259 | 558 | 23,533 | 74,575 |
| 2022 | 17,336 | 24,612 | 485 | 18,237 | 60,670 |
| 2023 | 14,745 | 21,251 | 488 | 15,650 | 52,134 |
| 2024 | 13,728 | 20,601 | 452 | 15,488 | 50,269 |
| 2025 | 13,204 | 20,287 | 448 | 14,594 | 48,533 |
2025 年は合計 48,533 人が合格しています。区分別では二級が最も多く、次いで特殊、一級の順です。
資料の表題は「小型船舶操縦士試験合格者数」で、国家試験を直接受験した人のほかに登録小型船舶教習所の修了試験に合格した人が含まれるかどうかは明示されていません。数字を読むときは「合格率ではない」ことに注意してください。
出題範囲は公式の教則で決まっている
学科試験の問題は、公式の教則「小型船舶の航行の安全に関する教則」(令和 5 年 4 月 1 日施行)の範囲から出題されます。教則は第 1 章(小型船舶の船長の心得及び遵守事項)・第 2 章(交通の方法)・第 3 章(運航)・第 4 章(5 海里以遠を航海するための運航 = 上級運航Ⅰ・Ⅱ)で構成され、試験の科目とそのまま対応しています。
出題数が最も多いのは「運航」(二級で 50 問中 24 問)です。Lorebook が収録している船舶免許の問題 440 問でも、運航が 165 問と最も多く、交通の方法 99 問・心得 90 問・上級運航Ⅰ 43 問・上級運航Ⅱ 43 問と続きます。範囲の広さも出題数に比例します。
受験資格と受け方
- 年齢: 一級・二級は 18 歳、特殊と二級(技能限定)は 16 歳から取得できます
- 受け方は 2 通り: 国家試験を直接受験する方法と、登録小型船舶教習所で講習を受けて修了試験に合格し、国家試験の学科・実技を免除される方法
- 試験は身体検査 → 学科試験 → 実技試験の順で、身体検査に合格しないと学科・実技は受けられません
- 学科試験と実技試験の合格はそれぞれ 2 年間有効(身体検査は 1 年)。学科に合格して実技が不合格だった場合も、有効期間内は学科の合格が引き継がれます
学科試験の受験手数料(2025 年 1 月 1 日以降)は、一級 10,000 円・二級 4,850 円・二級(湖川小出力限定)4,250 円・特殊 4,400 円です。別途、身体検査(証明書なし 4,250 円 / あり 2,450 円)と実技試験の手数料がかかります。
よくある質問
- 船舶免許の学科試験の合格率はどのくらいですか?
- 試験機関の JMRA は合格率を公表していません。公表されているのは年度別・区分別の合格者数だけです(2025 年は合計 48,533 人)。合格率を示すサイトがあっても、公式統計に基づく数字ではありません。
- 二級は何問正解すれば合格ですか?
- 50 問中 33 問以上、かつ心得・交通の方法・運航の各科目でそれぞれ半分以上の正解が必要です。
- 一級と二級で学科試験は何が違いますか?
- 一級は二級と同じ一般科目 50 問に加えて、上級運航Ⅰ(航海)8 問・上級運航Ⅱ(機関)6 問が出題され、合計 64 問を 2 時間 20 分で解きます。上級科目は 14 問中 10 問以上の正解が別途必要です。
- 湖川小出力限定の学科試験は簡単ですか?
- 出題形式が正誤式(○×)で 30 問・30 分と、他の区分より問題数と時間は少なめです。ただし各科目で半分以上かつ 30 問中 20 問以上という基準は同様にあります。
- 学科に合格して実技が不合格だった場合、学科も受け直しですか?
- 学科試験の合格は 2 年間有効なので、有効期間内は学科の合格が引き継がれます。身体検査の合格は 1 年間で、身体検査に合格していないと学科・実技は受けられません。
出典
本記事は公表資料に基づく解説で、合否を保証するものではありません。制度・手数料は変わることがあるため、最新の情報は公式サイトで確認してください。