第一種と第二種の違いは、まず「どの業種の事業場で衛生管理者として選任できるか」です。労働安全衛生規則第7条第1項第3号はイに 13 業種を挙げ、そこでは第二種免許を選任の根拠にできません。試験も、第一種は関係法令と労働衛生が「有害業務に係るもの」と「以外のもの」に分かれて 44 問、第二種は 3 科目 30 問です。合格基準はどちらも「科目(第一種は範囲)ごとに 40% 以上、かつ合計 60% 以上」で、足切りの単位が違います。
違いの出発点は「選任できる業種」
労働安全衛生法第12条第1項は、政令で定める規模の事業場ごとに衛生管理者を選任し、衛生に係る技術的事項を管理させることを事業者に義務づけています。その規模は労働安全衛生法施行令第4条で「常時五十人以上の労働者を使用する事業場」と定められています。
どの免許で選任できるかを分けているのは、労働安全衛生規則第7条第1項第3号です。同号はイとロの 2 区分を置いています。
- イ: 農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業及び清掃業 — 第一種衛生管理者免許若しくは衛生工学衛生管理者免許を有する者、又は同規則第10条各号に掲げる者
- ロ: その他の業種 — 第一種衛生管理者免許、第二種衛生管理者免許若しくは衛生工学衛生管理者免許を有する者、又は同規則第10条各号に掲げる者
イに列挙された 13 業種では、第二種免許は選任の根拠になりません。安全衛生技術試験協会は、第一種免許を有する者は「すべての業種の事業場において衛生管理者となることができます」、第二種免許を有する者は「有害業務と関連の少ない情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業など一定の業種の事業場においてのみ」衛生管理者となれる、と説明しています。
同規則第10条は、免許以外で衛生管理者になれる者として医師・歯科医師・労働衛生コンサルタント・厚生労働大臣の定める者を挙げています。免許試験は、衛生管理者になる経路のひとつです。
試験科目・出題数・配点・試験時間
労働安全衛生規則第70条・別表第五は、第一種・第二種とも学科試験の科目を「労働衛生」「労働生理」「関係法令」と定めています。第一種ではこのうち労働衛生と関係法令が「有害業務に係るもの」と「それ以外のもの」に分かれ、第二種は有害業務に係るものを除いた範囲が出題されます。
| 区分 | 科目(範囲) | 出題数 | 配点 | 試験時間 |
|---|---|---|---|---|
| 第一種 | 関係法令(有害業務に係るもの) | 10問 | 80点 | 13:30〜16:30 の 3時間 |
| 第一種 | 関係法令(有害業務に係るもの以外のもの) | 7問 | 70点 | 同上 |
| 第一種 | 労働衛生(有害業務に係るもの) | 10問 | 80点 | 同上 |
| 第一種 | 労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの) | 7問 | 70点 | 同上 |
| 第一種 | 労働生理 | 10問 | 100点 | 同上 |
| 第二種 | 関係法令(有害業務に係るものを除く。) | 10問 | 100点 | 13:30〜16:30 の 3時間 |
| 第二種 | 労働衛生(有害業務に係るものを除く。) | 10問 | 100点 | 同上 |
| 第二種 | 労働生理 | 10問 | 100点 | 同上 |
公表問題の注意事項では、第一種は「試験時間は3時間で、試験問題は問1~問44です」、第二種は「試験時間は3時間で、試験問題は問1~問30です」と案内されています。出題形式は「五肢択一式で、正答は一問につき一つだけです」。上の表の配点を合計すると第一種は 400 点、第二種は 300 点になります(協会が公表しているのは科目ごとの配点です)。
船員法による衛生管理者適任証書の交付を受け、その後 1 年以上労働衛生の実務に従事した経験がある人は「労働生理」が免除されます。その場合の試験時間は 13:30〜15:45 の 2時間15分で、試験問題は第一種が問1~問34、第二種が問1~問20です。
合格基準は「40% の足切り」と「合計 60%」
協会が公表している合格基準は「科目ごと(第一種衛生管理者試験の科目のうち範囲が分かれているものについては範囲ごと)の得点が40%以上で、かつ、その合計が60%以上であること。」です。
ここが両者のいちばん実務的な違いです。第二種は 3 科目それぞれが足切りの単位ですが、第一種は「範囲ごと」— 関係法令と労働衛生は、有害業務に係るものと以外のものが別々に 40% を判定されます。協会のよくあるご質問にも「学科試験は、得点の合計が60%であっても、ある科目の得点が40%未満となると不合格になります。」と書かれています。
第二種の免許を持つ人が受ける「特例第一種」
協会は「特例第一種衛生管理者免許試験とは、第二種衛生管理者免許を受けた者が、第一種衛生管理者免許試験を受験する場合です。」と案内しています。科目は「労働衛生(有害業務に係るものに限る。)」10問(80点)と「関係法令(有害業務に係るものに限る。)」10問(80点)の 2 つで、試験時間は 13:30〜15:30 の 2時間です。申請では受験申請書A欄の上に「特例」と赤字で記入し、第二種衛生管理者免許証の写しを添付します。
「労働生理の免除」と特例第一種は別の制度です。ここに書いた特例第一種の科目と試験時間は、安全衛生技術試験協会の案内に記載されている内容です。
免許を受ける経路は試験合格だけではない
労働安全衛生規則第62条・別表第四は、第一種衛生管理者免許を受けることができる者の第一号に「第一種衛生管理者免許試験に合格した者」を挙げています。ただし、これは第一号であって唯一の経路ではありません。
- 第一種: 試験の合格者のほか、大学又は高等専門学校で医学に関する課程を修めて卒業した者、大学で保健衛生に関する学科を専攻して卒業した者で労働衛生に関する講座又は学科目を修めたもの、その他厚生労働大臣が定める者
- 第二種: 第二種衛生管理者免許試験に合格した者、その他厚生労働大臣が定める者
- 衛生工学衛生管理者免許: 大学又は高等専門学校で工学又は理学に関する課程を修めて卒業した者で、都道府県労働局長の登録を受けた者が行う衛生工学衛生管理者講習を修了したもの
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この記事は 2026年9月時点で公表されている資料に基づく整理で、合否を保証するものではありません。試験の科目・日程・手数料などの制度は年度によって変わるため、受験前に安全衛生技術試験協会と厚生労働省の公式サイトで確認してください。
よくある質問
- 第一種と第二種では、どの業種で選任できるかがどう違いますか?
- 労働安全衛生規則第7条第1項第3号イに挙げられた 13 業種(製造業・建設業・医療業など)では、第一種衛生管理者免許または衛生工学衛生管理者免許が必要です。ロの「その他の業種」では第二種免許でも選任できます。
- 出題数と試験時間はどれくらい違いますか?
- 第一種は 5 つの科目・範囲で問1~問44、第二種は 3 科目で問1~問30です。試験時間はどちらも 13:30〜16:30 の 3時間です。
- 第一種のほうが合格基準は厳しいのですか?
- 基準の割合は同じで、「科目ごと(第一種は範囲ごと)40% 以上、かつ合計 60% 以上」です。ただし第一種は 40% の足切りを判定される単位が第二種より多くなります。
- 第二種に合格してから第一種を受けられますか?
- 協会は、第二種衛生管理者免許を受けた者が第一種衛生管理者免許試験を受験する場合を「特例第一種衛生管理者免許試験」として案内しています。科目は有害業務に係る労働衛生と関係法令の各 10問で、試験時間は 2時間です。
- 試験に合格する以外に免許を受ける方法はありますか?
- あります。労働安全衛生規則の別表第四は、試験合格のほかに、医学に関する課程を修めて大学又は高等専門学校を卒業した者などを挙げています。